素敵な椅子
園舎春休みの中、日頃、弊園舎をご利用いただいておりますマルキン家具の代表者様より素敵な椅子を本日ご寄贈頂きました。
子どもの姿勢を大切に考えられたこの椅子。デザインもさることながら機能性も十分なエビデンスのもと作られたというもの。
今回まさに家具についてのプロフェッショナルである代表者様より多くの刺激を頂戴し、またこのお気持ちにお応えできるよう、身の引き締まるひと時でした。
本気で子ども達の成長を願う大人の力、これが社会を教育を良い方向に向かわせる鍵だと思っております。
子ども達がこの椅子に座っておしごとをする姿を想像すると、とても嬉しくなります。
未曽有の新型コロナの蔓延。先行きがわからない状況の中、弊園舎もしっかりと情報をキャッチアップし、子ども達、保護者の皆さま、スタッフにとっての最善を判断してまいりたいと思います。
保護者の皆さまの願い
体験入園を終えるにあたり、ご体験頂いた保護者の方々に「お子様への将来の願い」をご意見を聞かせて頂きました。
保護者の皆さまは子ども達の職業などに大きな期待をしているということではなく、自分で考え想像し、自分で選択した人生に満足をし、それが周りの人の役に立つ人生を歩んで欲しいということでありました。
私も全くの同意見であり、そのお子さまを想う心に感動いたしました。
しかしながら、その為の「プロセス」について少し考えたいと思います。
それは「本当の意味での主体性」です。誰もが人生を大満足して生きたいと願い、大切な人がそうあってくれれば幸せであると考えます。
そこにはたくさんの生活する技能や各感覚器官が一気に成長する「幼少期」の日々の過ごし方が最重要であると考えます。
それは「学力」や「偏差値の高い学校」ということではなく、幼少期に自分の尊厳を認められ、満たされた心と環境の中で適切な時期に思考や言語、そして様々なことが出来るようになる自信を得るための自己選択の経験を繰り返すことが大事であると思います。
進学塾や有名進学校に通うにはやはり「競争」という原理がどうしても働いてきてしまいます。人生は他の誰かと比べるものではなく、丸い球体をそれぞれが走ったり歩いたりし、その他の誰かとは協力して生きていくものであると考えます。
この体験を通して、子ども達は根本的に本当に優しく、順応性があり、そして勇気があるのだということを痛感させられました。
どうか、子ども達の幼少期、少年期が信頼できる大人と自由が保障される環境の中で、「自己選択」と「小さな成功体験」繰り返して欲しいと願います。子ども達の自分の進路は是非自分で決めて欲しい。どの学校に行くのか、はたして行かないのか。どの職業につくのか。どんな人生を歩むのか。世界は時代を経るにあたり日々変化を続けております。これまでの学力主義、終身雇用制度は終焉を迎えます。
保護者の皆様には「最高の理解者」であり、どんなことがあっても「常に味方」であって欲しいと願っております。
平和教育
子ども達の様子を見ていると、小さな諍いでも自分たちで殆ど解決しているように思います。
モンテッソーリの「平和を創るのは教育の仕事である」という言葉は本当にその通りだと思います。
子ども達は本当に友だちに優しく、自分にも優しい。そして我々大人にも優しいと感じたことは小学校教員生活よりその思いが変わったことはありません。
それなのになぜ大人になるにつれて他人を傷つけ自分を傷つけてしまうのでしょうか。それはやはり「環境」と子どもの吸収することに対する「大人の行動」が多いに関係しているように思います。
我々大人が子どもの自由を保障し、尊厳を認め、それによる責任と自律を子ども達が染みていて他者の意見と折り合いをつけていくことが出来る。
子ども達はいつも外で思い切り遊んで帰って来た後、冷えた園舎のお茶を分け与えながら飲みます。
金銭的ではなく本当に意味で精神的に満たされるということを経験していくことが、「平和」への第1歩になっていくものだと信じる中、大人も常に平和を願い行動していくことが重要であるとそれが平和教育に繋がっていくと信じております。
子どもたちの力
初めての母子分離。保護者の皆様には子どもを小さな社会に出す第1歩となります。
すぐに環境に馴染める子、泣いてしまって中々園に入れない子。全員の個性が多いに出る中、お母さんたちは断腸の思いで子どもたちを預けに来てくれます。
我々もその想いに応えるべく、一人ひとりに合わせた方法を保護者の皆さまと相談しながら考えていきます。
やはり、そこで鍵になるのは「子どもを信じること」だと考えております。高津学院でも初めての園児には、体験からお昼までの慣らし登園という流れをとっております。
今回の体験では大泣きしてしまう子どももいました。しかしながらお母さんが決断し我々にゆだねてくださり、朝泣いていた子が今は元気におしごとに取り組んでいます。友だちと自然と会話し、自分の思う「おしごと」に取り組む姿に感動せざるを得ません。まさに「子どもの家」となってきています。
母子分離には様々な見解があると思いますが、受け入れ側は子どもが「安心」できる環境(場所・教師)をしっかりと整え、保護者の皆さまの想いを汲み、やはり最後は子ども自身の環境への順応性を信じてあげることが大切であると思いました。
子どもの力、お母さんをはじめとした保護者に皆様の決断、モンテッソーリ教育の環境。この3者が同じ方向で揃えば子どもが「自立」に向かうものであると、子ども達から日々学ぶことが出来ることに感謝しています。
新型コロナウィルスの対応について
3月2日現在、大阪市の認可外保育施設の方針に準拠する形での開園となりますが、以下の場合登園をお断りさせて頂いておりますので、よろしくお願いします。
○ 登園前に体温計測を実施 発熱(37.5 度以上)や呼吸器症状がある
〇 24 時間以内に 37.5 度以上の発熱があった場合
また日々の健康観察についても保護者の皆様には充分 にご配慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。
自由と規律について
多くの保護者の皆さまからモンテッソーリ教育における「自由」についてのご質問を受けます。
園舎では「自由」という名の「放任」では全くないということ。をお伝えしております。
今日は子どもとのやり取りの中のこんな1例を紹介したいと思います。
登園してきた園児はトイレを済ませ、手を洗います。しかしながら3歳児の園児は他の友だちのおしごとや他の園児のお迎えに気をとらえて、身支度が全くできていません。しかし園舎ではお手伝いが必要であれば手助けするものの、「早くしなさい!」ということはありません。
私は「〇〇くん、上着がまだ掛かってないよ。」「○○君、園に来て大分時間が経つようだよ。」と声を掛けました。
私も見届けていたのですが、私自身の仕事もあったので、
「〇〇くん。できたら園長先生に教えに来てね。」と伝えて職員室に戻りました。
すると数分後、
○○君「園長先生、身支度できたよ。」
私「自分でできたんだね。今日は時間が大分かかったようだけど、どう?」
○○君「いろんなことをしてしまって、遅くなってしまったんだよ。」
私「うん。見てたよ。○○君、時間が無くなってしまったらどうなると思う?」
○○君「おしごとが出来なくなっちゃう。」
私「そうか。そうだね。じゃあ、次からどうしようか。」
○○君「次からは早く身支度して、たくさんおしごとしたいと思う。」
私はとても感心しながら、この園児と会話をしていました。3歳児でも原因と結果を理解し、自分の言語で発することが出来るのだと。
この男の子には「身支度を素早くする」ことについては、自分自身の「課題」であるということに気づいてくれればと願っております。
このように、自分の身支度を終えないことには決して「おしごと」をすることはできません。もし時間内で何もできなくてもそれは本人の決めたことになる、という「責任」を園舎では感じて欲しいと思います。決して教師である大人への恐怖心や畏怖感ではなく、自身で「ルール」を理解していくようになって欲しいと願います。
そして、私が「教育」について大切にしていることは、「子ども理解」です。
「子ども理解」のスタートはお互いの年齢などを超えた「人」としての「尊厳」を大切にして、子どもと接することだと考えます。
子どもをひとりの「人」として尊厳を認めて接し、こちらの尊厳も尊重してもらう。私たち大人は、ただ少し先に生きているだけというように解釈する。
私自身も今日のような出来事による子どもからの学びを大切にし、子ども達には自分自身の中にいる「教師」の声に、心の耳を傾けてもらえればと思います。
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